マリとはいろいろな思い出がある。
臆病なマリは花火の音が嫌いで 近くの八幡神社の花火の音に驚き脱走した。
また、とても気まぐれなのでちょっと眼を離したすきにどこかへ行ってしまう事もよくあった。その度に私はいろいろと探しまわなければならなかった。
私の父はその頃シェパードを5匹飼っていた。私は軽トラにシェパード5匹とボルゾイのマリを乗せ、よく山へ行った。
スルガ銀行がオーナーをしている駿河平にはベルナールビュッへ美術館をはじめ、いろいろな文化施設が造られていた。そこによく犬を連れて遊びに出かけた。
周りの人たちはたくさんのシェパードとボルゾイに驚いていた。私はとても満足していた。犬を6匹連れて歩けることに大変な自己満足を味わっていた。
ある日いつものように山へ犬たちを散歩に連れて行ったあと、用事で沼津に行くことになった。
いつものように荷台にシェパード5匹とマリを乗せていた。
すると、人通りの多い繁華街の交差点の信号待ちをしていた時、小さな犬がいた。
何を思ったかその犬がこちらに向かって吠えたとたん、シェパードがいっせいに荷台からおりてしまい、綱を引きちぎり子犬を追い掛け回し始めたのである。交差点は子犬を追いかける5匹のシェパードで大混乱になってしまった。
私はとりあえず車から降り、犬の名前を呼びながら1匹づつ、捕まえようと必死になった。
子犬の飼い主は呆然と立ち竦むばかりだった。
辺りは渋滞し始めた。近くの交番の警官まで出てきた。
私はどうしようかとうろたえた。頭の中が真っ白になり始めた。
3匹めを捕まえた後、残りの犬たちも車に戻ってきた。ようやく収まりがついた。
気がつくとマリはどういうわけか荷台から助手席に移っていた。
私はホッとして「おまえは逃げなくていいやつだな」と声をかけた。
警官に挨拶をすませ、私は運転をしようとした時、異様にくさい臭いがした。
なんとマリは助手席にウンコをしていたのである。
それから、散歩の時は必ずマリは助手席に乗り、私がちょっとでも席を離すと助手席でウンコをするようになったのである。
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